番外公演『少年ノ玉』

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『少年ノ玉』チラシ(B2)クリックで拡大

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 ジャングルジムの劇場は、材木約二千本と十トンの土で作ります。材木はフレームのユニットにして大阪からトラック二台で持って行きます。フレームを箱状に組み立て、それを積木のように積んでゆくのですが、私たちはすでに神戸、松本で実験済みですので、あっという間に白いジャングルジムの劇場ができ上ると思います。

 私たちが「ジャングルジムの劇場」を発想したのは、エッシャーの絵のような空間を実際に作ってみたいという欲求からです。

 私たちは、役者が舞台にあることの基本が「立つ姿勢」であることに強い疑問を持っています。役者の立つ姿勢がそのまま「立ったままの精神」になってしまうようななにげない怖さが、通常の舞台にはあります。私たちは、かつてのドリフターズの得意芸のように地震する舞台、天地のひっくり返った舞台のような、精神と体をコロコロの団子にしてしまう愉快さを舞台に求めたいものです。

 巨大なジャングルジムという遊戯装置が、『少年王者舘』と『維新派』の二つの個性と『街の風景』を巻き込み、演劇の遊戯性をさらに拡大するムーブメントの劇場を、白川公園に。

劇団日本維新派 松本雄吉(チラシ裏より)

 双翼のプロペラ機の上にすっくりと立つ謎の美少年―――毎年1回、アリス・フェスティバルというと必ず東京に姿を現わし、またコツ然と消え去る「少年王者」に、これが私たちの抱くイメージである。

 いままさに飛び立とうとする美少年の、あまりの凛々しさ、けなげさに、観るものはすっかり心を奪われながらも、額にかざした夜の手がいずかたを求め、天を仰ぎみるその瞳が何を凝視めているのか、まだ誰にも解明できない謎に満ち満ちている。ただその魅力的な姿に接したものは、こうもり飛びかう夕暮れや、みずみずしい世界を逆さまに映す朝顔の露に、今まで見たこともない美しさをみつけ、路上にころがるビール瓶のキャップやポケットのなかのラムネ玉にこれまで感じたことのない不思議な懐かしさを覚えるばかりだ。彼らが行くと路地になり帰りつけば座敷となり世界を自由自在に反転させる町内お子様自警団やズボンの騎士たちもまた、私たちの、かつて確かに持っていて今はもう遠く忘れ果てていた、あの好奇と冒険の心をふたたび強く掻きたててくれる。

 「少年王者」は今度、日本維新派とドッキングして白川公園の天空にむかってさらに屹立するのだ、と聞く。私たち東京演劇界の美少年探検隊も時刻を定めツアーを組んで夜の白川公園にむかうつもりだ。「少年王者」の謎を突きとめるために……。

タイニイ・アリス 西村博子(チラシ裏より)

 少年王者館日本維新派との、カンタン相照らしての出会い − それは、また、天野天街松本雄吉という、双つながらのケウな個性の遭遇である。

 少女から老婆への一瞬の輪廻の時間、卓ぶ台のあるお座敷は重畳たるタタミ敷きの三千世界へそのまま拡がる。このアマノ・ザ・ワールドの時間感覚、空間感覚は、かの稲垣足穂にも通じるところである。かわたれ時に遊び保ける少年たちはどこへつれていかれるのか − 天野の芝居はつねにそんな謎と迷宮に満ちている。想念としての神隠しの世界である。

 片や、松本雄吉の世界は、失われていく記憶や風景の原形質をたどりなおす道行のドラマである。海からあがってきた蟹が、新世界の盛り場を酔っぱらい歩きしたり、友達の昔の家をたずねたりと(『蟹殿下』)実にひょうきんなアイデンティティを求める芝居つくりである。

 松本雄吉が自ら地べたに釘一本で線を引くところから始まった数々の野外劇場の試み。終幕、演じ手の足もとをすくうように舞台がはがされて奈落がのぞく。(『月光のシャドウボウル』)構築と一瞬の破壊。それは壮大な遊び心とアナーキズムが混在した世界だ。「地震する舞台、天地のひっくり返った舞台を」この劇場論がジャングルジムシアターにたどりついた。凡百の近代劇場の欠陥を穿っているこの未知なる空間に天野天街はどう挑戦するのか。この両者の出会いが名古屋の演劇および表現の世界に与える刺激はきっとスリリングなものになるに違いない。

二村利之(七ツ寺共同スタジオ)

ずっとむかしにアマノテンガイくんのしばいをいちどと、それからえいがでマツモトさんのしばいのどきゅめんたりーをいちどみたきりのわたしが、こういうぶんしょうをしるすのは、ほんとうはしつれいであるかもしれませんが、どちらもしらないひとではないので、このたびのであいを、あいわいもうしあげるしだいです。なんでもデアイです。デアイはちょくせつてきなかんけいのはじまりです。かつてかいぼうだいのうえでみしんとこうもりがさがであったように、おなじじだいにきせきてきにうまれあわせたふたつのけうなさいのうが、なごやというばでカイコウするということは、リュウシのかくりつてきなかんけいをして、さんりつこうぞうをいい、くぉーくのそんざいをひていした、はいぜんべるくはかせにもとけない、かみがみのしんぼうえんりょのなぞでしょう。

マツモトさんというひとは、そうぞうするに、こどものてをひいて、せんとうへいくみちみち、ろじうらからはるかとおくメイオウセイをひとにらみできるひとですし、テンガイくんは、こっぷざけのなかにうかぶきほうのつぶつぶのひとつひとつに、しゃぼんだまのえんとろぴーをかいまみるひとですから、こんどのデアイがいったいどんなウチュウのカセキをこうちくしてみせてくれるのか、きょうみはしんしんとふかく、ましていくというものです。

北村想

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拝啓 皆々様

日毎 寒さも増し、野も街もゆっくりと冬に向かいつつある今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、この度、少年王者舘(名古屋)と日本維新派(大阪)は、大須七ツ寺共同スタヂヲ15周年を祝して白川公園にジャングルジムシアターを築き、合同公演を行う運びとなりました。
今はもう無くなってしまった星を慈しむ少年達の耳元にヒウヒウと耳鳴りする宵へ、北風に誘われてお出掛け下さい。(厚着をお忘れなきよう…)一同、心より、お待ち申し上げております。

敬具 七ツ寺共同スタヂオ
少年王者舘・日本維新派

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