怒涛の1週間が明けて月曜日。
小熊さんの出演しているハイバイ『リサイクルショップ「KOBITO」』@こまばアゴラ劇場へ。
ハイバイの芝居は、前々回の『て』に続いて2回目の観劇。
古着が積まれたリサイクルショップで繰り広げられるお話。
この後関西での公演があるので、「前半の話が後半になると…」といった内容のことは置いておいて。
前回も、そして今回も思ったのだけど、とにかくハイバイの芝居はイヤだ。
芝居の途中で逃げ出したくなる。
あんなん見せられても困る。
つまらないとか、自分に合わないとかそういうことじゃなくて、内容が。
内容というより、台詞が、かなあ。
芝居でいう「リアル」って、「芝居でいうリアル」であって、本当のリアルとはまた違う。
けど、ハイバイのリアルさって、本当の方のリアルと肉薄してて、というかもうそのままで、それはもうつまり現実で、現実でのコミュニケーションで起こる「イヤ」はもう現実で経験しているのだから、何もわざわざお金を出してそんな「イヤ」を体験しに来ることはないじゃないか、と前回も思った。
そんな「イヤ」をこういう形で掘り下げてしまう作・演出の岩井秀人氏は、いったい。
岩井氏は、アタシとほぼ同い年で、だからもうたぶんいろいろと近くて、それがまた。
どこがどうと説明できないけど、なんだか「公開カウンセリング」な印象も。
それくらい、プライベートで「痛い」し「怖い」。
ただ、それらはどちらかというと『て』の方の印象で、今回はそこからちょっと別のベクトルが入っている感じ。
そのベクトルが、どういう方向なのかはなかなか捉えにくくて、それはきっと、これから作られる次回作、次々回作を見ると、「なるほど」ってなるんじゃないかと想像。
ああいや、そんなドロンドロンの印象の芝居ではなくて。
あちこちで、会場には笑いが起こって湧いているし。
どちらかといえば、ライトな印象、なはず。
いやそうかな? どうだろう。
翌火曜日。
お友達から声をかけてもらって、渋谷シアターコクーンへ。
こちらは大きなホール。
Bunkamura20周年記念企画『桜姫』で、原作は4代目鶴屋南北、脚本は長塚圭史、演出が串田和美、音楽が伊藤ヨタロウ氏。
出演は、秋山菜津子、大竹しのぶ、白井晃、中村勘三郎、古田新太、笹野高史、といった豪華な顔ぶれ。
通常の客席は客席として、でも前方の席を潰して、かなり手前に舞台が張り出している奥に長い長方形の舞台。
その分、舞台奥には、左右から挟むように2階建ての客席が建てられている(1階部分は舞台セットで、2階部分に客席)。
そしてアタシは、その2階建ての2階席に案内される。
開演後、狂言回し的役割の大竹しのぶ、笹野高史が「芝居が始まるよ」的なことを語ったのち、自分のいるその2階建ての客席が90度回転。
何っ!?
それにより、通常の客席と向かい合うことに。
そんなわけでアタシは、ステージ奥から、芝居を後ろから見ることに(もちろんそれは考慮された演出ですが)。
やー、これは面白い体験でした。
本番中って、ステージから客席って、こんな感じで見えてるのかー、と。
逆に言えば、アタシの席は本番中ずっと「通常の客席」から見られてるわけで、ちんこの位置を直すことも、鼻くそをほじることもままならない。
でも、その緊張感のおかげで、眠りに落ちることもなく。
お話は、歌舞伎の演目を、南米版にアレンジした現代劇。
清玄はセルゲイ、権助はゴンザレス、といった感じ。
皆さんプロであらせられるので、しっかりと及第点をとっているのだけど、もうひとつそれ以上の「ナニカ」が欲してしまう。
ただアタシ、こういう大きいホールで見た「演劇」で、良かったって思った作品って、1つもないかも知れない。
ある程度の規模以上の会場になると、おそらく発声とか振りとか、どうしても最低限身に付けなきゃいけない技術があるとして、それが(アタシ個人的に)ダメなのかも。
月曜日も局所的な豪雨があったけど、この火曜日もまた。
3日連続? 4日連続?
これから数週間は、自転車移動の際は上下ゴアテックスを持ち歩かないと。
コメント