『食品の裏側 / 安倍司』 - こらないで書いた『食品の裏側 / 安倍司』という本に、「三温糖は体にいいと言われるようになったので、上白糖をカラメル色素で染めて売り出すメーカが出てきた」というような記述があった。
土付きニンジンや泥付きネギが「良い」ということで、わざわざ土やら泥やらを付けて価格を上乗せして売るようなもんでしょか。
それはともかく、そもそも三温糖ってのが何なのか知らない。
他にもグラニュー糖とか黒砂糖とか上白糖とかあるけど、よく知らない。
調べてみた。
どうやらまず、ハードシュガーとソフトシュガーに分けると判りやすそう。
ハードシュガーってのは、サラサラのグラニュー糖など。
ソフトシュガーってのは、しっとりの上白糖(じょうはくとう)など。
日本で“砂糖”というと上白糖を指すみたい。
スーパーで特売してるやつ。
対して日本以外では普通“砂糖”というとグラニュー糖を指すみたい。
ふむ。
砂糖は、サトウキビやらテンサイからしぼった液から、砂糖の主成分であるショ糖(蔗糖/スクロース)のみを結晶させて作る。
そうやってできるのが、グラニュー糖やザラメ。
粒のちっちゃいのがグラニュー糖、大きいのがザラメ。
もっと大きいのが氷砂糖。
グラニュー糖を四角く固めたのが角砂糖。
あらまあ、みんな一緒の仲間だったのね。
ついでに、グラニュー糖をさらに細かくしたのが粉砂糖(湿気防止のため少量のコーンスターチが入ってるらしい)。
そんでもって、上記のものに「ビスコ」と呼ばれる糖蜜液をかけてしっとりさせたのが上白糖とか三温糖(とか中白糖)。
これらがソフトシュガー(車糖というらしい)。
グラニュー糖に比べて甘味が強く、水に溶けやすく、保湿性が高いという特徴がある、とのこと。
ふむふむ。
では、上白糖とか三温糖(とか中白糖)の違いとは。
再度、砂糖の作り方。
サトウキビをしぼって、その液体中のカスやら何やらを沈殿させて、その上澄みを加熱して煮詰めて結晶にして、それを遠心分離機などで取り出す。
それを何度か繰り返す(何度も煮詰めなおして結晶化させて取り出す)。
その際、いっちばん最初に取り出した結晶からできるのが上白糖。
最後に取り出した結晶からできるのが三温糖。
その中間が中白糖。
ほー。
当然、純度が高いのが上白糖。
ショ糖分を見ると、上白糖が99.7%、三温糖が95.4%とのこと。
三温糖は砂糖としての純度が低い分ミネラルやらが豊富かというと、確かに上白糖よりは多いけど、たいして違わないみたい。
ふーん。
そんなわけで、三温糖が茶色いのは、加熱を繰り返したあとであるため、熱で変色(カラメル化)してるから。
でも、均一に色が着くわけではなく、色ムラや蜜玉といったものができる。
これだと見た目が悪いので、カラメル色素をかけて色を均一にする(その場合「カラメル色素」等の表示が義務づけされている)。
なるほど。
これで、サラサラ系の粉砂糖→グラニュー糖→ザラメ→氷砂糖(大きさの違い)と、しっとり系の上白糖→中白糖→三温糖(精製順)について了解。
黒砂糖(くろざとう/ブラウンシュガー)はというと、最初のサトウキビの絞り汁をそのまま加熱して濃縮して冷やし固めたもの。
つまり砂糖としてみると不純物たっぷりで、ショ糖分は80%前後となり、上記の各種砂糖に比べてかなり低い。
その分ミネラル等がいろいろ、ということになる。
この黒砂糖を水に溶かして煮詰めものが、黒蜜(くろみつ)。
和三盆(わさんぼん)は、徳島県、香川県あたりで作られている特殊な製法で作られている、それ自体が和菓子のようなもの。
砂糖の粒子を細かくする「研ぎ」という作業や「押し舟」という道具で圧搾したりといった行程を経て作られる高級品。
つまりあれか。
ミネラル豊富な黒砂糖の「褐色」と、和三盆の「三」と、「上白糖が白いのは漂白してるから!」というデマが合体して、「三温糖は体にいい!」ってことになったりしてるのかしら。
ついでに、サトウキビとテンサイの呼び方のいろいろ。
- サトウキビ=砂糖黍=甘蔗(かんしょ)=うーじ(沖縄方言)
- テンサイ=甜菜=サトウダイコン=砂糖大根=ビート
以上、砂糖のお話でした。
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