2006年5月終わり頃に見た映画3本の覚え書き。
『真夜中の弥次さん喜多さん / 宮藤官九郎』
やっと見た。
クドカン初監督作品、原作しりあがり寿さん。
周りの人に感想をきくと「うん、普通にちゃんと面白かったよ」という意見が多くて、「どっちが好き?」といぢわるな質問をすると「芝居」という答えが多かった。
実際に見たところ、うん、ちゃんと面白い。
で、(比べるのはナンセンスなのだけど)やっぱり芝居の方が面白い。
なんでかっていうと、芝居の方が制限が多いからかなーと思った。
映画の方は、衣装にしろセットにしろ、しっかりお金がかかってる。
人もたっくさん出てくる。
そしてCGも(これがくせもの)。
芝居だと、CGはないし、セットもひとつだし、出てくるのは2人だけ。
そういう制限が多い方が、弥次喜多って「イきる」のかも。
もっと制限をキツくして、例えば指人形版の弥次喜多とか、短歌版弥次喜多とか、面白そうだもの。
そう考えると、「ペラペラなインチキな世界」を映画という箱で挑んだ映画版弥次喜多ってのは、相当のチャレンジだなー、と思った。
『パッチギ! / 井筒和幸』
1968年の京都を舞台に、日本人高校生 VS 朝鮮高校の生徒たちをフォークルの曲にのせて。
「ワレコラッ!」なケンカシーンがたんまり出てくるのだけど、この時代、とにかくみんなまっすぐにぶつかり合ってて、なんだかちょっとうらやましい。
朝鮮高校の女子に惚れる日本人高校生の話も盛り込まれていて、それをきっかけに少しずつ交流の生まれる日韓の若者たち。
そんなほんわかした友情ストーリで終わっちゃうのかと思ったら、そこはやはりガツンと。
まだ見てない井筒映画が何本か残ってるので、早く他の作品も見てみたくなった。
『ロング・エンゲージメント / ジャン=ピエール・ジュネ』
原作は未読。
『デリカッテセン』『ロスト・チルドレン』『アメリ』というアタシの大好きな作品の監督が撮った戦争映画。
ジュネ映画の最初の楽しみと言えば、冒頭のクレジットのところの凝ったお遊びなのだけど、今回はそれがなかった。
あとで監督自身によるオーディオコメンタリを見たら、「この映画には合わないのでシンプルなものにした」とのこと。
なるほど。
お話の方は、謎解きになっていて、そして多くの人が関わってくる。
この映画が世界で公開されることを考慮して、「顔と名前だけでは人物の見分けが難しいかも」ということで、人物の名前は必ず職業付きで発せられていた(靴屋のマルチン、といったように)。
さらに後半、謎解きがスタートしてからは、名前と同時に回想シーン的なものも要所要所に現れて、ジュネってすごく観客視点で作るんだなーと思った。
ジュネ映画の好きなところはたくさんあるのだけど(全部好きなのだけど)、CGの使い方が好き。
今のところ、特に日本映画では「あ、CGだ」と思って微妙に冷めてしまうことが多いのだけど、ジュネ映画だと「クスッ」って感じで、うまいなーといつも思う。
思わず、2回続けて連続で見ちゃいました。
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