こらない

2005-07-25(月)

2005-07-18: 勝井祐二+大友良英「in the Dark」

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勝井祐二+大友良英「in the Dark」@吉祥寺マンダラ2にイッテキマシタ(2005-07-18)。

ドイツのアヴァンギャルド音楽祭「メールス・フェスティバル」の中に、会場内を真っ暗にして演奏を聴く「Dark Tent」というものがあるらしく、それを日本でもやってみよう、というのが今回の「in the Dark」。

「真っ暗イベント」と言えば、過去に何度か取り上げた…というか強くおすすめした「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」というイベントがありまして、これは「演奏を聴く」という行為に特化したものではなく、広めの会場になるべく日常と同じような環境を作り出して、それを真っ暗な状態で体験する、というもの。
簡単にいえば、盲人になってみよう、というもの。
これがまた、ただ「なるほどー、目が見えないと世界はこんな風なのかー」とか「視覚が遮られる分、聴覚が鋭くなるなー」といったレベルでなく、なんかもうおかしなことになったりしたのですが、それは前に書いたので省略。

そうそう、そいえば「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」もドイツ発祥。
そのつながりで「Dark Tent」が行なわれているのかどうかは不明。

念のために書いておくけど、「真っ暗」というのは本当に真っ暗で、目が慣れたからと言って何かがぼんやり見えてくる「闇」ではなく、ほんとに明かりひとつない世界のことです。

そんなわけで、勝井さんと大友さんによる「in the Dark」。
最初に勝井さんのソロ、次に大友さんのソロ、最後に2人のデュオ、という構成。

勝井さんのソロは最近いろんな人がやってるディレイによるループを重ねていくタイプの演奏。
演奏の開始とともに客電もステージ照明も、カウンターの明かりもPAの明かりも全てオフ。
おー、真っ暗。
…と思ったのも束の間、ステージの床に置かれたエフェクターの赤いランプが煌煌(こうこう)と光ってる…。
目が慣れてくると、その小さな小さな赤い光のおかげで、演奏している勝井さんが見えてしまう。

これはちょっと詰めが甘い。
「真っ暗」じゃない。
せっかく面白い試みなのに、台無しだ…。

もうひとつ気になったのが、結局音はステージ上手(かみて)と下手(しもて)に置かれたスピーカから出てるってこと。
せめて後ろにもスピーカを配置するべきじゃないかなあ。

勝井さんの演奏が終わり明かりを戻して少し話したのち、次は大友さんの演奏。

やられた。

いきなりうしろから鉄パイプで殴られたような音。
「ギャッ!」って言いそうになった。
その後、前から後ろから横から、近くから遠くから、ものすごく凶悪な音が襲いかかってきた。
こんな凶悪なインダストリアルなノイズを聴くのは、10年以上ぶりかも知れない。
何分演奏したのか分からないけど、ほんとに吐きそうで、ほんとに泣きそうで、ほんとに気が狂いそうだった。
そうか、やっぱり後ろにもスピーカが準備してあったんだ。

その後のデュオはアタシにはちょっと冗長だった。
アタシがうまく捉えられなかっただけかも知れないけど、もっと「暗闇」をもっと「デュオ」を活かして欲しかったというのが率直な感想。

当たり前な感想だけど、「真っ暗になると耳が拓く」ってのは確かにそう。
なので、いろんな音楽家の人がたまに「今日は真っ暗でやります」ってやったりすると面白いな、と思った。
あるいは、1本のライブの中で、「真っ暗コーナー」を作ったりとか。

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