1995年に『龍の契り』という作品で小説家デビューしたという著者のノンフィクションで、タイトル通り骨董市で「古民家売ります」の貼り紙に出会うところからスタート。
福井の山の中にある古民家を買い取り、東京都内に移築するまでのいろいろ。
漠然とアタシは「古民家(=廃屋)を20〜30万円で買って…」くらいと想像していたら、実際は250万円。
この値段を聞いて著者は「これは安い!」と本気になる。
著者が骨董屋に「この廃屋を解体して運搬して再建築するといくら?」と訊くと、「ケースバイケースだけど、2,000〜3,000万円かねえ」との答え。
そんなにかかるのかー、と思って読み進むと「そいつは安い!」と著者。
そっか、安いかー。
その後も「坪70万円くらいにしたい。60坪(の土地が元々あるらしい)として約4,200万円。マンションを買ってもそれ以上するし、まあボクたちの世代の家の費用としては平均の部類だろう」との記述(ちなみに1998年発行で、著者は30台半ば)。
それが平均の部類、なのか。
始終そんな感じで、お金的にちっとも参考にならないのだけど、古民家自体にはすごく惹かれてしまった。
点数は少ないもののいくつか写真が載っていて、それを見る限り、長年使い込まれた木というのがなんとも素敵。
荻窪にひなぎくという落ち着く喫茶店があるのだけど、何が落ち着くのかと思ったらやっぱりあの使い込まれた感のある木なんだな、と思った。
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