2006-05-20 (土)
2006年4〜5月に見た映画
2006年4〜5月に見た映画、6本の覚え書き。
『ドッグヴィル / ラース・フォン・トリアー』
ギャングに追われ、貧しい小さな村「ドッグヴィル」に逃げ込んだ美しい女性と、彼女を匿(かくま)う村の人々。
劇中出てくるのはその村のみ。
そして、その村の舞台美術セットは組まれておらず、「ここが家」「ここが扉」「ここが植え込み」という線が地面に引かれているだけ。
ドアを開けるのも、犬に話しかけるのも、全てマイムで行なわれる。
…という特殊性が気になっていて、やっと見た。
Amazonのレビューを見ると「人間の本質を見事に描き出した作品」とあるのだけど、そこのところが見ていてものすごく不快になるもので、途中何度も見るのを辞めようと思った。
作品が描き出そうとした部分に対して「いい」「悪い」、あるいは「好き」「嫌い」という評価は特にないのだけど、「セットを組まずマイムで演じる」の必然性がいまいち掴めず、そこがちょっとクエスチョン。
『恋の門 / 松尾スズキ』
ちゃんと面白くて、ちゃんと楽しめた。
けど、やっぱりつい「どこに誰が出てるか」に気を取られてしまう。
ものすごくいろんな人が出てますね。
『ひみつの花園 / 矢口史靖』
今更、今頃、矢口監督の『ひみつの花園』をやっと。
やー、愛おしい!
「好きな映画」にこの作品を挙げる人が多いのも分かるなー。
好き。
ただただお金が大好きな女の子、けどそれ以外は「抜け殻」のような生活。
そこに突如現れる「5億円」。
冒頭に寺十さん、中ほどで軽薄な若者を演じるはだかさんが。
『オーシャンズ12 / スティーブン・ソダーバーグ』
「昔の詐欺仲間が集まり、ドデカい詐欺を働く」というアタシの好きな王道ストーリーを豪華に実現させた前作『オーシャンズ11』。
続く今作で、そのまま単純に次のターゲットに挑むのかと思ったら、もっと直接的に前作の続きとなっていて、つまり前作の被害者が「貴様らがやったことは分かってる。盗んだものを返せ」というところからスタート。
前作がすごく面白かったので、次はどう来るか、と期待するわけなのだけど、その期待をうまい形で裏切っていてうれしい。
出演者全員がハリウッドのビッグネームで、前作は大ヒット作。
その続編を普通に作っても面白くない。
だったら徹底的に遊んでしまえ、って感じで、役者は力の抜けた演技なのか地なのか分からない演技を披露し(そこはやはりそういう演技なのだと思う)、さらに別のハリウッド男優が本人役で出演し、さらには本人が「本人そっくりさん」役でも登場するという、おちゃらけぶり。
ジャッキーチェンの映画のエンドロールの時のNG集のノリで1本映画を撮ったような印象があって、「そう来たか!」と好感を持ったのだけど、Amazonのカスタマレビュを見ると、「心底がっかりした」「最悪」って感想が並んでいてびっくり。
「豪華キャストを集めても、これじゃあねえ…」という意見が多いのだけど、アタシには「豪華キャストがこれだけ集まってるんだから、それ以上何もいらないでしょ」ってところを楽しむように作られてると思うのだけどなー。
『お葬式 / 伊丹十三』
公開時か、そのすぐ後に見た気がするのだけど、もしかしたら今回初めて見たのかも(つまり初めて見るのと同じ)。
タイトル通り「お葬式」の前後数日間を、どちらかという淡々と描いただけの映画なのだけど、「親戚が何人か集まると、必ずこういう人っているよね」なネタが次々と繰り出されて、おかしくって仕方ない。
坊さんに払う「お心付け」に関して「いくらぐらい…」「それはもう“気持ち”ですから」「それはそうなんですけど、相場と言ったらあれですけど、あの…」といった掛け合いとか、あるいはお棺を設置したあと「これはー、そのー、北枕っていうのはー、ええとー」とか言い出す人とか、それはもう日本中で何万回と繰り返されている事象が満載。
伊丹監督は、きっと当時の日本においてすごくハイカラな人だったと想像するのだけど、この映画も含めて、「ガイジンから見た(ちょっとおかしな風習を持つ)日本」って視点で作られてる感じがするなー、と思った。
『下妻物語 / 中島哲也』
やー、面白かった。
ブラボー。
好き好き。
「好きな映画って何?」って訊かれた時に『下妻物語』って答えてもいいと思った。
ロココを愛しロリータファッションに身を包む深田恭子と、徒党を組みバイクで爆走するヤンキーの土屋アンナの2人の主人公。
こういう話の場合、設定がぶっとんでいればいるだけ、いい。
Amazonのカスタマレビュを見ると、誉めてる場合は「コミカルなおバカムービーで面白い」というのが多いのだけど、そうかしら。
誉めてない人は「だれそれの演技はダメ」と書いてるのだけど、そうかしら。
そんな中、「何処となく『アメリ』と共通する世界観があるように思いました」というのがあって、それがいちばん近いかなーと思った。
『アメリ』と似てるとは思わないけど、そういう言葉にできない、自分でもよく分からない「なんとなく」な印象、そういうところが、この映画を気に入ったところ。
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