こらない

2006-03-10 (金)

『千里眼』

昨年末に読んだ松岡圭祐著の『催眠』。
なんかどうもちぐはぐしてる感じがするのだけど、でもまあ面白かった。

その続編の『後催眠』は、『催眠』に比べてもうちょっとしっかりしてて、なんとなく「『催眠』の頃はまだ若かったのかな」と思った。

どちらにしても、なんとなく手放しで「面白い」とは言えないのだけど、けど興味を失わずに最後まで読めてしまう、というわけで、続けて『千里眼』というシリーズへ。

『千里眼 / 松岡圭祐』

「ちょっとした目の動き」「息づかい」「声の調子」といったものから相手の考えていることを見通してしまう、という主人公の女性(それで「千里眼」)。

「催眠術」も含め、世で「少々オカルト」として捉えられているような不思議を「そんなの全然不思議じゃない、種明かしはこうです」と次々に具体的に説明。

「不思議なことなど何もないのだよ」という京極堂が同様にさまざまな「不思議」に説明をつけてしまいながらも、「でもそれでも人智の及ばない不思議というものはある」という印象が残るのに対して、『千里眼』では「ほーら、種を明かせばなんてことはない、そんなものに騙されるのは知識のない証拠だよ」と言われているようで、そこが少し馴染めない。

ただ、謎が謎を呼び、ページをめくらざるを得ない吸引力というのが確かにあって、つい寝る間を惜しんで読んでしまう。

『千里眼 ミドリの猿 / 松岡圭祐』

「小説史上空前絶後のエンターテインメント巨編」といった煽り文句とともに「圧倒的なリーダビリティ」といった単語があちこちに。
なるほど、そこが売りなのかー。

それならそれでいい、と思いつつも、それでもなお鼻につく記述が多い。
「車」とか「メカ」とか「臨床心理」とか、あるいは「メイク」とか「髪型」とか「香水」とかにすごく造詣が深いかのような記述がたくさん出てくるのだけど、それらがどうも「ひからかし」の域を出ていないように感じられて、そういう記述が出てくるたび「なんだかなあ」と思ってしまう。

でも「圧倒的なリーダビリティ」は嘘ではなく、早く最後まで読みたくなる。
今回の謎はタイトルでもある「ミドリの猿」なわけだけど、なんと最後まで読んだのにその謎は解明されなかった!
そんなバカな!
「つづく」だった。

『千里眼 運命の暗示 / 松岡圭祐』

つづき。
うーん、やっぱり面白い。
「エンターテインメント小説」ってことで「良くも悪くも漫画のよう」とか書いてみたくなるけど、それはちょっと違う、漫画ではない。
いろんな「悪者」が出てきたり、やられたり、復活したりする様は、ゴレンジャー等の戦隊ものっぽいかなあ。
や、別に「子ども向けだ」といったことを言いたいわけではないです。
なんだかんだ言って、面白いから続けて読んでるわけで、でも手放しで「面白い」と言っていいのかと言われるとちょっと困る、というそんな感じ。

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