2005-06-13 (月)
本『大地の教え / オスマン・サンコン』
1996年に出たサンコンさんの本『大地の教え』読了。
前書きの日付は1991年になっているので、その後単行本が出て、文庫化されたのが1996年なのかな。
アタシはどうも、海外へ嫁いだ女性の書いた本だとか、日本に住んでいる外国生まれの人の書いた本だとかが好きなようです。
ようですというか、好きです。
内容は、体裁としてはサンコンさんが、生まれた頃からの故郷ギニアでの生活を細かく紹介、といった感じ。
こうやって水を汲んだ、こうやって母親に叱られた、こういう冠婚葬祭があった、こういうものをこうやって調理して食べた、などなど。
西欧の文明がそれほど入り込んでいないサンコンさんの幼少時代。
電気もないから、夜になれば当然暗くなる。
雨期と乾期がある。
厳しい自然に接し、土地に感謝し、収穫に感謝し、バオバブの木に感謝し、地域で共同して生活し、村には長老がいる。
思い出すのは『パパラギ』なのだけど、サンコンさんの人柄の良さなのか、文明への批判はいちいち出てこない。
文明社会の、ほとんど土を踏まないような生活を送ってきたアタシは、ちょっぴり、いやかなりうらやましく読んでいた。
もちろん、こんな性善説が成り立ちそうな理想的な柔らかな生活だったわけではなく、この本には書かれていないマイナスも話もいろいろあるだろうな、と想像しながら。
そんな風に、全体的にやや牧歌的なイメージで読み進んでいったのだけど、その中に書かれなかったことは、最後の20〜30ページに凝縮して書かれていました。
白い男たちがやってきた。
その時の話はなんらかの形で伝わってはいるが、しかし当時のギニアには文字はなかった。
15世紀、最初にポルトガルが来た。
続いてスペインが来た。
フランスも来た。
鉄鉱石、ボーキサイト、ヤシ油、金、ダイヤ、ピーナッツ、ありとあらゆるものを運び出していった。
かれらはあらゆる知恵を絞りながら、ぼくらからモノを奪うことを考えた。そして、最後は、人間までも、鎖で縛って連れ去った。一人、二人と数えず、一頭、二頭、一匹、二匹と勘定して運び去った。
20〜30ページと書いたように、この最後の章は、淡々とまるで歴史の教科書のように短くまとめられている。
それが却って辛い。
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