2005-05-18 (水)
本『マークスの山 / 高村薫』読了
先日、信頼のおけるおともだちに「ぜひ『マークスの山』を読んでみてください」と言われて、さっそく手に入れて読んでみた。
文庫で上下巻。
高村薫さんという方の作品を読むのは初めて。
面白くなくはなかった。
上下巻にわたってぐいぐいと引き込まれはした。
けどどうだろう、それほど興奮することはなかった。
無意識に期待してたラインが高かったんかなあ。
ミステリーだとすると、犯人とか謎の部分はなんだか火曜サスペンスみたい。
警察内部のあれやこれやも特に目新しくはなくて「どこでも現場と“上”ってのはこんなんでイヤんなるなあ」といった感じ。
読みながらとにかく気になったのが文章で、
「とてもきれいなアタシが好きな花」
みたいな、「とてもきれいなのはアタシなの? 花なの?」みたいな文が多かったり、あと1文1文が長いので、主語がはっきりしなくなっちゃったり。
日本語は「というわけではない」みたいに否定が文末にくるから、肯定だと思って読んだ長い文の最後に否定がくると「おっとっと」ってつまずいちゃう。
とここまで書いてAmazonへのリンクを貼ろうと思ってAmazonを見て驚いた。
この作品、第109回直木賞受賞作だった。
「警察小説の金字塔」と呼ばれるものであり、レビューによれば、
- 「宝島社 このミステリーがすごい!」 1994年度 第1位
- 「宝島社 『読者が選ぶ』過去10年のベスト20」 第10位
- 「宝島社 覆面座談会が選ぶ『過去10年間のベスト20』」 第2位
- 「週間文春 傑作ミステリーベスト10」 1993年 第1位
- 「週刊文春 二十世紀傑作ミステリーベスト10」 第3位
という輝かしい功績(?)を残した作品らしい。
うぐっ。
ここまで並んじゃうと、「文が長い」だの「陳腐だ」などと書いてしまったアタシは不安。
どうやら話題になってからすでに10年以上経っているようなので、この10年の間にこの作品に影響を受けた物語がいろいろと誕生したのかも知れない。
そういうものを先に見たアタシにとって「陳腐」に見えたのかしら。
いやちょっと待った、「陳腐だ」なんて言ってないよ。
いちばん驚きたかったのが、読了後にこれを書いた筆者が女性だというところなのだけど、そこのところだけ先に聞いて知ってしまっていたのでした。
最初に書いたけど、面白くなかったわけじゃない。
なので、別の作品も順次読んでみようと思います。
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