愛知県文化振興事業団プロデュース公演第1回AFF戯曲賞優秀賞受賞作
作:半澤寧子 演出:天野天街
会場:愛知県芸術劇場小ホール
日時 | 11/23 (祝) | 11/24 (土) | 11/25 (日) |
14:00 | − | ○ | ○ |
19:00 | ○ | ○ | − |
問い合わせ先:052-971-5609(愛知県文化振興団)
舞台美術 | 田岡一遠 |
映像 | 浜嶋将裕 |
舞台監督 | 篠田エイジ(少年王者舘) |
音響 | 戸崎数子 |
照明 | 小木曽千倉 |
作曲 | 珠水(少年王者舘) |
衣装 | 田村英子(マナコプロジェクト) |
小道具 | 伊藤真由美 |
宣伝美術 | アマノテンガイ |
キャスティング協力 | 安住恭子 |
制作 | 近藤順子(B Stage) |
アたシは、此のシばイで、
あク夢を飲みコみ、
ち魅モウリョうをはなつ。
アマノテンガイ
アマノテンガイ
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愛知県文化振興事業団は、愛知からの文化の発信と演劇界の次代を担う人材の発掘・育成、さらに地元演劇界の活性化を目的として平成12年度に「AAF戯曲賞」を創設しました。
この戯曲賞には、全国から56作品の応募があり、平成12年10月4日に愛知県芸術劇場小ホールで行った飯島早苗、木村繁、坂手洋二、鈴江俊郎、平田オリザ各審査員による審査会の結果、半澤寧子作「大熊猫中毒」を優秀賞に選出しました。この作品を全国的に抜群の人気を誇る少年王者舘を主宰する天野天街の演出により、事業団プロデュース公演として実施します。
岸田國士戯曲賞にもノミネートされた実績をもつ、若手劇作家半澤寧子の作品を、独特の詩的、幻想的な感覚で天野天街が斬新に演出、またオーディション選抜の3人を含む個性派俳優陣の顔合わせなど、「新たな」舞台の創出にご期待ください。
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私は、もとはと言えば、高校時代は化学部で、夢は「科学者兼主婦になること」という人間でした。放課後、ガスバーナーでガラス管を溶かしていると、屋上の方から変な声が聞こえてくるのです。「あえいうえおあおー、かけきくけこかこー」。あー、演劇部だ、恥ずかしいなあ…と思っていました。なんで恥ずかしいことをするのかしら、私は科学者になってちっぽけでもいいからひとつの真実を見いだして死のう、絵空事には近づくまい、そうつぶやきつつバーナーの炎をいっそう青く光らせたりしていたのです。それだのに。
たゆみない油断と変なものに引っ張られた果てに、私はどうしてかセリフを書いています。不思議だなぁ、と心底思います。でも不思議を解いて絵空事を現実にすることこそ科学者の使命だとも思うので、しばらくは舞台の傍にいたいです。そしてそこでいろいろな方とお会いできることを、とても楽しみにしています。
半澤寧子(フリー劇作家)
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演劇部の部室には古びたカーテンがかかり、光を孕んだ布が揺れるたび、少女達の表情も心なしか揺れる……私の印象はこの鮮烈な視覚上の把握に尽きる。裕一郎という男の子の名前をついけられた少女がその曖昧な光の中で投げている視線はどこか危うく世界を拒絶するのだが、あらゆる理解も共感も拒むようなその「傾き」は、「真実」に近いなにかを捉えている気がして、私を脅かすのだ。上演に期待したい。
鈴江俊郎(劇作家・演出家、劇団八時半代表、AFF戯曲賞審査員)
主人公キタガワノボルは、小さな美術館で働いている。まじめだが、いつもどこかぼんやりしており、虚しい空気を纏った青年だ。
彼は大学時代、恩師の頼みで、ある女子校の演劇部のために海外の台本を翻訳したことがあった。
『大熊猫中毒』…その訳を進めるうち、彼は思いを寄せた一人の高校生の役を、どんどん大きくしてしまう。台本は原作とかけ離れ、病弱な彼女は役を担いきれずに入院し、その舞台に立つことはなかった。
彼女は本当の『大熊猫中毒』を書いて欲しいと言い残して、彼の前から姿を消す。その後は会うこともなく、数年が過ぎていた。
ある夜、美術館で展示準備をしていた彼は、思わぬ形で彼女やその友達の女子高生たちと再会する。
理知的な杏子、わがままだが憎めないところのある静、人間好き演劇好きで情熱は人一倍だがどこかとんちんかんなところがある光代。
そして「今いる自分をどこかに流し去りたい」と、いつも思っていた裕一郎。
ノボルは彼女たちに、自分がまだ『大熊猫中毒』を完成させる途上にいることを知らされる。
チラシ裏より
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